2024年3月7日

 気になっているのは、芸術と現実、そして嘘のことだ。そしていつでも活字と意匠に包まれ、心中には波風が立っていたい。なるべく体を動かして、豚のごたる容貌をとることは避けたい。しかしこの頃は適切な食事がわからない。不思議なことに、外食チェーンユニバーサルデザインのごたるポリティカル・コレクトネス味が口に合う。甚だ納得のいかない事態なのであるが。節約という偉大なる二文字のもと四ヵ月間も美容室をお預けにされている毛髪は、そのストレス堆積ぶりを表現するレパートリーを日々増やしている。まっさらな状態で稽古場へ向かう。またぞろまたぞろ。ホットスナックの橙燈を見つけて、初めてローソン100に入る。通常百円のコロッケ風の揚げ物が五十四円で販売されていた。体の内側から油分が染み渡る感覚は期待していたとおりのもので、安い味付けはたまらなく粋なものだった。あらかじめ自宅でハイボールにしておいた炭酸水のペットボトルを呷る。見た目には炭酸が目立たないので、白色燈の下ではまるで尿のように見えることだろう。ホットスナックでできた二の腕を公開することになり後悔する。ぶら下がれる器具が突如自宅に搬入されたのでなるべくぶら下がっているようにする。強迫じみた清掃行為が続いている。きょう落とした毛髪と毎日向き合う。家事への執拗なこだわり。かなり認めがたいがこれも己の一部である。