2024年3月6日

 善い生活の音を聞きながらキーボードを打つ。ただ耐え忍ぶような思い。ギャンブルを通して彼らは善良な市民となる。いまをじょうずにいきるのだ。しっとりモイストタイプのティッシュを買う。今日は活字に対するフェティシズムがより強い。数か月ぶりに書店で新刊を購入する。西村賢太。値段を三度四度眺める。食費はエンゲル係数。活字費は。エロス係数でもタナトス係数でもどっちでもない。背筋に寒気の走る哄笑。このごろは死の匂いを選り分けて嗅ぐ。著者紹介。中卒。の文字が燦然と輝く。絶対にここにはないおのれの救済。雨の匂いを嗅ぎ、パンを買う。食事は外を歩きながらするものだ。対向の通行人を眺めながらチュロスを齧る時間。視線によって食わされている。温度のないチュロスは乾いた木の枝のごっかった。透明な傘とのコントラストが効いております。街灯にひかる滴と照り返さない焦げ色の上にまぶされた粉糖。人が雨が降ってほしいな~、と思った時想像しているその雨みたいな雨。が今も降っている。小説を書きたい。歴史を踏まえ踏みにじるようなものを。からだをきたえたい。喜怒哀楽の表情をまるでエクスプレッションできないほどに。念のためスマートフォンを握りベッドに倒れる。最後のカレーライスを堪能した口内を一生懸命に清掃する女性。先刻歯ブラシで絡みとれなかった玄米や肉やらの滓は彼女の今晩のビールの味になんらか影響を与えるだろうか。歯茎から出血する。それ即ち感染の危機である。そこへすかさずフッ素加工が施される。ゆすがずに唾液だけ吐き出してください。フッ素は体に悪いとのことで、飲み込もうと思っていたのにうっかりその通りにしてしまった。不覚。薬によりリビドーが消失しておりますが、口にだけは出さずにいようと存じます。わかりめすか。アハハ。